「超高濃度ビタミンC点滴」とは




点滴でビタミンCを静脈に注入することで血中のビタミンC濃度を高め、美肌や疲労回復、がん治療などの効果を得る、今注目のアンチエイジング療法(※)です。

(※)2008年に米国の研究チームが、がん細胞を植え付けたマウスにビタミンCを投入した結果、がん細胞の増殖を抑制することに成功し、大変話題になりました。 最近ではがん治療だけでなく美肌効果などを得るアンチエイジング医療の現場でも、ビタミンCが用いられるようになり注目を集めています。

「超高濃度ビタミンC点滴」あゆみ

1970年に米国のライナス・ポーリング博士が、がん患者にビタミンCを投与したところ、延命効果が得られたという学説を発表しました。
しかしその後、権威ある医療機関がビタミンCを投与してもがん患者の延命効果は得られなかったと発表したため、ポーリング博士の学説は否定されてしましました。
しかし2005年、米国の国立衛生研究所が、「超高濃度ビタミンC点滴に抗がん作用がある」という研究結果を発表。以来一般にも広く普及し、日本でも行われるようになりました。

ビタミンCは点滴でのみ抗がん作用を発揮

ポーリング博士のビタミンC投与と、権威ある医療機関によるビタミンC投与とでは、がん患者の延命効果に差がありました。その差は、投与方法にありました。
ポーリング博士は、「点滴+サプリメント」によるビタミンCの投与を行い、医療機関の研究者は、「サプリメント」でのみ投与(経口投与)を行っていました。
つまり延命効果が得られるのは、「点滴」での投与だったのです。




ビタミンCは酸化しやすい物質です。
点滴では直接、血流にビタミンCが入るので、一気に血中のビタミンC濃度が高まり、そのビタミンCが短時間に全身に行き渡ります。
結果、自らが酸化する過程で発生する、過酸化水素が抗酸化作用をもたらし、がん細胞を死滅させる働きをします。
経口で摂取した場合はビタミンCが全身に行き渡る前に酸化していますので、点滴と同じ効果は期待できません。


ビタミンCが、がん細胞を死滅させる仕組み

人の膵臓がん(Mia PaCa-2)、悪性黒色腫(SK-MEL-28)、大腸がん(SW-620)、骨肉腫(U-2OS)の培養細胞はビタミンC濃度が400mg⁄dLに達すると破壊され死滅します。ビタミンCが高濃度になるとがん細胞の周囲で鉄などの微量な金属とフェントン反応を起こして過酸化水素を生成しますが、正常細胞はカタラーゼという酵素が過酸化水素を中和するので、身体に影響はありません。
がん細胞の多くは、このカタラーゼが欠乏しているために、過酸化水素を中和できずにダメージを受けて、破壊させてしまいます。
このようにして高濃度のビタミンCは、抗がん剤のように働くのです。
一方、ビタミンCはミトコンドリアの機能を正常化し、免疫システムを刺激、突然変異を予防します。すなわち高濃度ビタミンCは、がんの化学療法剤でありながら、免疫力を高めるという、これまでにない理想の最新化学療法とも言えます。




アンチエイジングとしてのビタミンC療法

人の細胞は、酸化して老化する過程で1日に1万〜2万個が変異して、がん予備軍になります。
超高濃度ビタミンC点滴は、そうした老化を食い止める、最新のアンチエイジング療法です。しかも、がん患者が対象だけでなく、全身の細胞にアンチエイジング効果をもたらし、美肌効果を得る事が出来ます。
抗酸化作用がある超高濃度ビタミンC点滴には、シミや肝斑を改善する効果やコラーゲン産生の活性化により肌にハリ、キメをもたらす効果もあります。
多量に摂取しても心配はありませんが、その摂取法は重要です。点滴を受けるにしても、防腐剤不使用のビタミンCを使用することは大切です。また、機能に障害がある人は、超高濃度ビタミンC点滴を受けられません。ほかの点滴の場合は、必要であればゆっくり点滴を行うことで、受けることができます。
しかし、ビタミンCの場合は酸化が早いく、点滴のスピードも早いため、ほかの点滴よりも腎臓への負担が大きくなります。アンチエイジングを目的に、美肌効果を持続的に得るには、2週間に1回の頻度で点滴を受けることをお勧めしています。
ただ、継続して受けるとなると、負担額はかかりますので、しっかりとカウンセリングを行って計画的に治療を進めていきます。



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